S-TENとは?S-TEN1・S-TEN2の違い、用途・耐食性・規格・加工方法を徹底解説
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S-TEN®(エステン)とは、日本製鉄が開発した耐硫酸・塩酸露点腐食鋼です。石炭火力ボイラーや廃棄物焼却施設などの排煙設備で問題となる「硫酸露点腐食」「塩酸露点腐食」に対し、普通鋼より優れた耐食性を発揮します。S-TENにはS-TEN1とS-TEN2があります。簡単にいえば、S-TEN1は硫酸・塩酸露点腐食への対策を重視した鋼種、S-TEN2は硫酸露点腐食への耐食性に加えて、より高い強度を持たせた鋼種です。ただし、S-TENはあらゆる酸や腐食環境に対応できる万能な鋼材ではありません。温度、酸濃度、排ガス成分、液の滞留、使用部位などによって、適否は大きく変わります。本記事では、S-TEN鋼板を在庫し、切断・曲げ・機械加工・溶接まで取り扱うクマガイ特殊鋼が、S-TEN1とS-TEN2の違い、用途、規格、加工方法、選定時の注意点をわかりやすく解説します。
目次
1.S-TENとは?
日本製鉄が開発した耐硫酸・塩酸露点腐食鋼
S-TENは、排煙処理設備などで発生する硫酸露点腐食や塩酸露点腐食への対策を目的に開発された低合金耐食鋼です。
工場、発電所、ボイラー、廃棄物焼却施設などでは、燃焼によって発生した排ガスが煙道、煙突、集塵機、空気予熱器などを通過します。その途中で排ガスや鋼材表面の温度が低下すると、排ガスに含まれる硫黄酸化物や塩化水素に由来する酸が鋼板表面に凝縮し、激しい腐食が起こる場合があります。
S-TENは、このような一般的な大気腐食とは異なる厳しい露点腐食環境に対応するための鋼材です。日本製鉄では、S-TEN1を硫酸・塩酸露点腐食に、S-TEN2を硫酸露点腐食に有効な鋼種と位置づけています。
なぜS-TENが必要なのか?
露点腐食が進行すると、設備の減肉、孔あき、ガス漏れ、補修頻度の増加、操業停止などにつながります。単に板厚を増やすだけでは、設備重量や材料費が増える一方で、腐食の根本的な抑制にならないこともあります。
そこで選択肢となるのが、腐食環境に合った耐食鋼の採用です。S-TENを適切な設備設計、保温、排水、清掃、点検と組み合わせることで、設備寿命の延長や補修負担の低減が期待できます。
2.そもそも「露点腐食」とは?
露点とは
露点とは、気体中の蒸気が冷却されて液体として凝縮し始める温度です。身近な例では、冷たいコップの表面に空気中の水分が水滴となって付着する現象があります。
排ガス設備では、水だけでなく、排ガス中の成分に由来する硫酸や塩酸が鋼材表面に凝縮する場合があります。これが硫酸露点腐食、塩酸露点腐食です。
硫酸露点腐食とは
燃料中の硫黄分が燃焼すると、硫黄酸化物が発生します。その一部がSO₃となり、排ガス中の水分と反応して硫酸蒸気を生じます。鋼材表面の温度が硫酸露点以下になると、硫酸が鋼板表面に凝縮し、腐食を引き起こします。
硫酸露点腐食は、煙道、煙突、空気予熱器、集塵機、排煙脱硫設備周辺などの低温部で問題になりやすい現象です。一般的な水分による錆とは異なり、条件によっては普通鋼だけでなくステンレス鋼でも大きく腐食することがあります。
塩酸露点腐食とは
廃棄物焼却施設などでは、燃焼物に含まれる塩素分により塩化水素が発生します。排ガス温度が低下すると、塩酸を含む液が鋼材表面に凝縮し、塩酸露点腐食が生じることがあります。
排ガスの低温化はエネルギー効率や環境対策の面で有効ですが、その一方で、従来は想定されていなかった低温部で塩酸露点腐食が発生する可能性があります。S-TEN1は、この塩酸露点腐食への耐食性も考慮された鋼種です。
露点腐食が発生する流れ
燃焼(排熱・ガス発生)
重油・石炭・廃棄物等の燃焼により、燃料中の硫黄分(S)や塩素分(Cl)が酸化。
SOx・HClを含む排ガス
硫黄酸化物(SO₂、SO₃)や塩化水素(HCl)を含む高温の排ガスが煙道・ダクトへ流れる。
排ガス温度低下
エコノマイザー、脱煙脱硫装置、煙道、煙突などを通過する過程で排ガス温度が低下。
酸露点に到達
気体中の水分と結合し、硫酸露点(約120〜150℃)や塩酸露点(約50〜60℃)を下回る。
鋼板表面に酸が凝縮
冷却されたダクト内壁や煙突の鋼板表面に、高濃度の硫酸・塩酸が水滴(凝縮液)として付着。
腐食(急速な減肉・穴あき)
普通鋼やSUS304では耐えきれず、激しい腐食摩耗・孔食・減肉破損が発生。
上記のような凝縮酸環境下では、普通鋼(SS400等)や汎用ステンレス(SUS304)では早期に腐食が進行します。硫酸・塩酸露点腐食を抑制するために特別に合金設計された「S-TEN1」「S-TEN2」を採用することで、設備の長寿命化とメンテナンスコストの削減が実現します。
3.S-TEN1とS-TEN2の違い
S-TEN1とS-TEN2の主な違いは、対象となる腐食環境と強度です。S-TEN1は硫酸・塩酸露点腐食に有効で、S-TEN2は硫酸露点腐食に有効です。また、熱間圧延鋼板では、S-TEN1はSM400A、S-TEN2はSM490Aに適合します。
| 比較項目 | S-TEN1 | S-TEN2 |
| 主な耐食性能 | 硫酸・塩酸露点腐食 | 硫酸露点腐食 |
| 熱延鋼板の適合JIS | JIS G 3106 SM400A | JIS G 3106 SM490A |
| 引張強さ | 400~510N/mm² | 490~610N/mm² |
| 強度区分 | 400N/mm²級 | 490N/mm²級 |
| 主な選定理由 | 塩酸露点腐食を含む環境への対応 | 硫酸露点腐食への対応と高強度化 |
| 代表的な用途 | 焼却設備、煙道、煙突内筒、塩酸酸洗槽など | ボイラー、集塵機、煙道、排煙設備など |
S-TEN1を検討しやすいケース
S-TEN1は、硫酸露点腐食だけでなく、塩酸露点腐食が問題となる設備で検討されます。廃棄物焼却施設の排煙系統、煙突内筒、チューブ型空気予熱器、塩酸酸洗槽などが代表例です。
ただし、「塩酸に強い」という言葉だけで選定してはいけません。希塩酸、洗浄水が常時流れる環境、低pH液が滞留する環境などでは、S-TEN1が最適とは限りません。
S-TEN2を検討しやすいケース
S-TEN2は、主として硫酸露点腐食への耐食性と、SM490A相当の強度が必要な場合に検討されます。構造強度を確保しながら排煙設備の耐久性を高めたい場合に有力な選択肢です。
一方、S-TEN2は塩酸露点腐食用として位置づけられた鋼種ではありません。塩酸の影響が想定される場合は、S-TEN1を含め、環境条件を確認したうえで材料を選ぶ必要があります。
4.S-TENはなぜ露点腐食に強いのか?
S-TENは、銅、クロム、アンチモンなどを鋼種ごとに適切に添加し、硫酸または塩酸露点腐食に対する耐食性を高めた低合金鋼です。S-TEN1とS-TEN2では成分設計が異なり、それぞれの耐食性能と強度特性が与えられています。
日本製鉄の技術資料では、硫酸露点環境を模擬した試験において、S-TEN1、S-TEN2が普通鋼や比較材より腐食を抑える結果が示されています。また、S-TEN1は塩酸環境の試験でも普通鋼より優れた耐食性を示します。
ただし、耐食性とは「腐食しない」という意味ではありません。腐食速度を抑えられる可能性があるということであり、使用中には錆も発生し、腐食も進行します。
5.重要|S-TENは「どんな酸にも強い鋼材」ではありません
S-TENを正しく使うために最も重要なのは、名称だけで材質を決めないことです。
S-TENは、硫酸・塩酸露点腐食という特定の腐食問題を対象とする低合金耐食鋼です。酸を扱う設備ならどこでも使えるわけではなく、次の条件によって耐食性は変化します。
- 酸の種類と濃度
- 温度と鋼材表面温度
- 排ガス中のSO₃、HCl、水分量
- 液体やドレンの滞留時間
- ダスト、灰、付着物の堆積
- 流速、摩耗、洗浄水の有無
- 異種金属との接触
- 溶接材料と溶接部の状態
日本製鉄の資料では、弱酸性から中性の液に対してはS-TENと普通鋼の差が小さくなる場合があることや、低pHの洗浄水が壁面を常時流れる条件ではS-TENの使用を避けるべき場合があることも示されています。また、煙道下部などにドレンが溜まると、想定以上の腐食につながる可能性があります。
材質選定では、過去の材質と板厚だけを見るのではなく、「どの部位が、何℃で、何により、どのように腐食しているか」を確認することが重要です。
6.S-TENの主な用途

石炭火力発電所・ボイラー
燃料由来の硫黄酸化物を含む排ガスが低温部を通過すると、硫酸露点腐食が発生することがあります。S-TENはボイラー周辺の排煙系統、空気予熱器、ダクトなどで検討されます。
廃棄物焼却施設
廃棄物焼却施設の排ガスには、硫黄酸化物だけでなく塩化水素が含まれる場合があります。そのため、設備の温度条件によって硫酸露点腐食と塩酸露点腐食の両方を考慮する必要があります。塩酸露点腐食が想定される箇所では、S-TEN1が選択肢となります。
集塵機・減温塔
乾式・湿式集塵機のケーシング、ダクト、集塵板や、減温塔のケーシング、ダクトなどにも適用例があります。ただし、ダストの堆積、低pH洗浄水、蒸発しきらないミストの付着は腐食を増大させるため、設備管理と一体で検討しなければなりません。
煙道・煙突
煙道のダクト、エキスパンション、煙突内筒などは、鋼板表面温度が下がりやすく、ドレンも発生しやすい部位です。S-TENの採用とあわせて、外部保温、ドレン抜き、局部的な液溜まりを防ぐ構造が重要になります。

排煙脱硫設備
排気筒やアフターバーナー用ダクトなどで適用例があります。一方、ガスクーラーや吸収塔の前後では硫酸ミストや低pH液が付着する可能性があるため、実際の液性状と滞留状況を確認する必要があります。
塩酸酸洗設備
S-TEN1は、めっき処理などで用いられる塩酸酸洗槽への適用例があります。ただし、塩酸濃度、温度、混入物、運転条件によって特性が変わるため、個別確認が必要です。


7.S-TENと他の鋼材との違い
S-TENとSS400の違い
SS400は、建築、機械、架台、一般構造物などで広く使われる一般構造用圧延鋼材です。入手性と加工性に優れますが、硫酸・塩酸露点腐食への耐食性を目的に設計された鋼材ではありません。
S-TENは露点腐食を抑制するための合金設計が施されており、排煙設備などの特定環境ではSS400より長寿命化を期待できます。ただし、腐食環境が露点腐食に該当しない場合は、S-TENを選ぶ効果が小さい可能性があります。
S-TEN1とSM400Aの違い
S-TEN1の熱間圧延鋼板はSM400Aに適合しますが、両者は同じ鋼材ではありません。SM400Aは主として強度、伸び、化学成分などを規定した溶接構造用圧延鋼材です。S-TEN1はその強度水準を満たしながら、硫酸・塩酸露点腐食に対する耐食性を付加した日本製鉄の製品です。
S-TEN2とSM490Aの違い
S-TEN2の熱間圧延鋼板はSM490Aに適合します。つまり、SM490A級の機械的性質を持ちつつ、硫酸露点腐食に対する耐食性を備えた鋼材です。ただし、一般のSM490Aに同じ露点腐食性能があるわけではありません。
S-TENとSUS304・SUS316の違い
S-TENとステンレス鋼のどちらが優れているかは、環境によって変わります。硫酸露点腐食のような高温・高濃度硫酸が生じる条件では、ステンレス鋼が常に有利とは限りません。一方、弱酸性から中性の液環境では、SUS304やSUS316がS-TENより優れた耐食性を示す場合があります。
また、材料価格、加工方法、溶接、板厚、設備寿命、交換頻度まで含めたライフサイクルコストも異なります。「耐食材だからステンレス」「酸があるからS-TEN」と短絡せず、腐食条件から比較する必要があります。
| 材料 | 主な位置づけ | 硫酸・塩酸露点腐食 | 選定上の注意 |
| SS400 | 一般構造用鋼 | 専用設計ではない | 初期コストだけでなく交換頻度も確認 |
| S-TEN1 | 耐硫酸・塩酸露点腐食鋼 | 硫酸・塩酸露点腐食に有効 | 希酸・低pH液・滞留条件を確認 |
| S-TEN2 | 高強度型の耐硫酸露点腐食鋼 | 硫酸露点腐食に有効 | 塩酸露点腐食用ではない |
| SUS304・SUS316 | ステンレス鋼 | 条件による | 酸種、濃度、温度により評価が逆転する |
8.S-TENの規格・化学成分・機械的性質
化学成分
日本製鉄のカタログに記載されている主な化学成分規格は次のとおりです。数値は質量%です。
| 鋼種 | C | Si | Mn | P | S | Cu | Cr | Ti | Sb |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| S-TEN1 | 0.14以下 | 0.55以下 | 1.60以下※ | 0.025以下 | 0.025以下 | 0.25~0.50 | ― | ― | 0.15以下 |
| S-TEN2 | 0.14以下 | 0.15~0.55 | 1.60以下 | 0.035以下 | 0.035以下 | 0.25~0.50 | 0.50~1.00 | 0.15以下 | ― |
※厚み区分や規格条件により数値上限が異なる場合があります。詳細仕様やミルシート照合はクマガイ特殊鋼までお問い合わせください。
※S-TEN1のMnには、カタログ記載のC量との関係による条件があります。また、必要に応じて表以外の合金元素が添加される場合があります。発注・設計時は、必ず最新のメーカー規格、ミルシートおよび適用規格をご確認ください。
熱間圧延鋼板の機械的性質
| 鋼種 | 板厚区分 | 降伏点または耐力 | 引張強さ |
|---|---|---|---|
| S-TEN1 | 16mm以下 | 245N/mm²以上 | 400~510N/mm² |
| 16mm超20.2mm以下 | 235N/mm²以上 | 400~510N/mm² | |
| S-TEN2 | 16mm以下 | 325N/mm²以上 | 490~610N/mm² |
| 16mm超25.4mm以下 | 315N/mm²以上 | 490~610N/mm² |
伸びの規定は板厚と試験片により異なります。上表は鋼種の違いを理解するための要約であり、設計・発注に用いる際は最新カタログと注文仕様を確認してください。
9.S-TENの溶接について
S-TENは溶接できる?
S-TENは溶接構造用として開発されており、基本的には同一強度レベルの普通鋼と同等の条件で溶接できます。
ただし、母材にS-TENを使用しても、溶接金属の耐食性が不足していれば、溶接部が先に腐食する可能性があります。溶接部にも母材と同等の耐硫酸・耐塩酸露点腐食性が必要な場合は、S-TEN専用溶接材料の使用が原則です。
溶接時の主な注意点
- S-TEN1、S-TEN2および必要強度に適合する溶接材料を選ぶ
- 母材と溶接部に求める耐食性能を確認する
- 開先、入熱、予熱、パス間温度などを板厚と施工条件に合わせる
- 異材溶接では、相手材と溶接材料の組み合わせを確認する
- 溶接後に酸性液が滞留しない構造とする
- 実施工前にメーカー資料、施工要領、溶接材料メーカーの推奨条件を確認する
「普通鋼と同じように溶接できる」という説明は、どの溶接材料でもよいという意味ではありません。耐食性を必要とする範囲、表裏面、すみ肉部、補修溶接部まで含めて仕様を決めることが重要です。
10.S-TENの切断・曲げ・機械加工
S-TENは、レーザー切断、プラズマ切断、ガス切断、曲げ、穴あけ、切削、溶接・製缶などに対応できます。実際の加工方法は板厚、形状、寸法公差、切断面品質、数量、後工程によって選びます。
レーザー切断
薄板から中厚板の精密形状、細かな孔、複雑な輪郭を加工する場合に適しています。高精度な切断が可能ですが、対応板厚、最小孔径、熱影響、スパッタ、切断面品質を確認する必要があります。
プラズマ切断・ガス切断
中厚板から厚板、大型形状ではプラズマ切断やガス切断が選択肢となります。プラズマは速度と切断品質のバランスに優れ、ガス切断は厚板や大型品に対応しやすい方法です。仕上げ代が必要な部品は、切断後の機械加工を前提に寸法を設定します。
曲げ加工
曲げ加工では、板厚、曲げ半径、圧延方向、曲げ角度、端面状態を確認します。小さすぎる曲げ半径や切断端面の傷は割れの原因となるため、必要に応じて端面仕上げや試し曲げを行います。
穴あけ・機械加工
穴あけ、フライス、マシニングなどの機械加工にも対応可能です。図面に基づき、素材手配から切断、孔加工、切削仕上げまで一括で進めることで、工程間の手配負担を減らせます。
溶接・製缶
ダクト、ケーシング、槽、部品などでは、材料販売だけでなく、切断、曲げ、溶接、製缶まで一貫対応することも可能です。耐食性を維持するため、用途に応じた専用溶接材料と施工条件の確認が欠かせません。
【加工事例はこちら↓もご参考にしてください】
耐硫酸塩酸露点腐食鋼板 S-TEN材 切断、穴明、曲げ、溶接 加工品 | ニュース・ブログ | 創業1913年 鋼板・鋼材の専門商社|クマガイ特殊鋼株式会社
S-TEN1 切断事例です。耐硫酸・塩酸露点腐食鋼鈑 | ニュース・ブログ | 創業1913年 鋼板・鋼材の専門商社|クマガイ特殊鋼株式会社
S-TEN、耐摩耗鋼板ABREX、高張力鋼板WEL-TEN、普通鋼など曲げ事例 | ニュース・ブログ | 創業1913年 鋼板・鋼材の専門商社|クマガイ特殊鋼株式会社
11.S-TEN1・S-TEN2の選び方
S-TENの選定では、まず腐食原因を把握し、その後に必要強度と加工条件を確認します。
STEP1 腐食環境を確認する
排ガス腐食なのか、液中腐食なのか、結露による腐食なのかを確認します。可能であれば、排ガス組成、液のpH、酸濃度、温度、既設材の腐食状況を把握します。
STEP2 硫酸露点腐食かを確認する
硫酸露点腐食が支配的であれば、S-TEN1またはS-TEN2を検討します。
STEP3 塩酸露点腐食の可能性を確認する
塩化水素を含む排ガスや塩酸凝縮が想定される場合は、S-TEN1を中心に検討します。S-TEN2は塩酸露点腐食用として位置づけられていません。
STEP4 必要強度を確認する
400N/mm²級でよいのか、490N/mm²級が必要なのかを確認します。より高い強度が必要で、主な腐食問題が硫酸露点腐食であれば、S-TEN2が候補となります。
STEP5 板厚・加工・溶接条件を確認する
必要板厚、定尺、切断形状、曲げ、穴あけ、機械加工、溶接材料、検査、納入形態を整理します。
STEP6 設備設計と保守条件を確認する
ドレン排出、外部保温、ダスト除去、洗浄方法、点検周期も重要です。優れた材料を使用しても、酸性液が長時間滞留する構造では十分な効果が得られない場合があります。
最終的な鋼種選定は、温度、酸濃度、排ガス成分、腐食形態、構造、期待寿命を確認し、必要に応じて設備設計者、材料メーカー、溶接材料メーカーと協議してください。
12.S-TENの在庫・サイズについて
クマガイ特殊鋼では、S-TEN1・S-TEN2の鋼板を在庫し、定尺販売だけでなく、必要寸法への切断や追加工に対応しています。
在庫は変動するため、最新情報は「S-TENシリーズ在庫表」をご確認ください。在庫にない板厚、特殊寸法、極厚材についても、切り板や取り寄せで対応できる場合があります。
ご相談時に、次の情報をお知らせいただくと確認がスムーズです。
- S-TEN1またはS-TEN2
- 板厚・幅・長さ
- 数量または必要重量
- 定尺、四角切り、図面形状の切断の要不要
- 曲げ、穴あけ、機械加工、溶接の有無
- 使用環境と用途
- 必要納期、納入先
- ミルシート、検査、梱包、輸出の要否
13.S-TENについてよくある質問
14.S-TENの購入・切断・加工ならクマガイ特殊鋼へ
S-TENは、鋼種名だけで選ぶ材料ではありません。硫酸露点腐食なのか、塩酸露点腐食なのか、どの程度の強度が必要なのか、液の滞留やダストの堆積がないかを確認したうえで、S-TEN1、S-TEN2、普通鋼、ステンレス鋼などを比較することが重要です。
クマガイ特殊鋼では、S-TEN1・S-TEN2の鋼板を在庫し、素材販売からレーザー・プラズマ・ガス切断、曲げ、穴あけ、機械加工、溶接・製缶まで対応しています。
「S-TEN1とS-TEN2のどちらを選べばよいかわからない」
「必要な板厚が在庫されているか確認したい」
「図面形状に切断し、曲げや穴あけまで依頼したい」
「既設設備の補修用に少量だけ手配したい」
「海外案件向けに材料と加工をまとめて相談したい」
このような場合は、用途、腐食環境、材質、板厚、寸法、数量、図面を添えてご相談ください。材料だけでも、完成部品に近い状態までの一貫加工でも、案件に合った供給方法をご提案します。
※S-TENは日本製鉄株式会社の登録商標です。
※本記事は一般的な技術情報の提供を目的としています。実際の材料選定、設計、施工では、最新のメーカー資料、適用規格、使用環境および溶接条件をご確認ください。
参考資料
日本製鉄株式会社「耐硫酸・塩酸露点腐食鋼 S-TEN」
日本製鉄株式会社「S-TEN」製品情報
日鉄溶接工業株式会社「S-TEN鋼の溶接材料」
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