SS400って?そもそも何?板厚、規格、性能についても解説|JIS G3101 vol.2
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目次
SS400の解説動画を公開しました。こちらもご覧ください。
前回vol.1では、SS400の概要・規定値・規格・物理的性質ついて解説しました。SS400の基本概要や用途については、こちらの総合解説をご参照ください。
SS400ってそもそも何? 板厚、規格、性能についても解説します vol.1 | ニュース・ブログ | 創業1913年 鋼板・鋼材の専門商社|クマガイ特殊鋼株式会社
今回は実際に使用する際の注意点や、板厚・市中在庫・溶接性などを解説いたします。
この解説を参考にしていただいて、鋼材選びや加工のお悩みなどありましたら、ぜひお気軽にお問い合わせください。
26年2月にSS400の規格や板厚、公差について、2026年2月「実際に発注・加工する立場」で整理・追記しました。JIS G3101の規定内容だけでなく、板厚公差の考え方や、調達時に見落としがちなポイントまで解説します。設計担当者・調達担当者が「まず何を確認すべきか」が分かる実務リファレンスとしてご活用ください。
※この記事の内容は当社見解でありすべてを保証するものではありません。製品のご購入や加工などの際は当社を含めた専門業者への確認と目的・用途に応じた検証の上、当該材料をご使用ください。
執筆・監修者
熊谷憧一郎(くまがい しょういちろう)
クマガイ特殊鋼株式会社 代表取締役社長。1977年生まれ、愛知県出身、成蹊大学経済学部卒業。2000年に大手総合商社へ入社し、特殊鋼材の販売に4年間従事。その後、現在の会社に入社し営業・加工技術の実務経験を積み、2013年より現職。特殊鋼販売技師の資格を有し、会社代表として特殊鋼販売技師や加工技師などのプロ社員集団を束ねる。
1.【実務で先に押さえる】SS400規格の重要ポイント
SS400は、日本で最も流通量の多い一般構造用鋼材です。まずは、実務上重要なポイントを整理します。
- 規格:JIS G3101
- 引張強さ:400~510N/mm²
- 降伏点:板厚区分によって異なる
- 板厚公差はJISで規定されている
- 主用途は一般構造用
設計・調達でまず確認すべきは、「板厚区分」と「公差」です。数値そのものよりも、「どの板厚区分に該当するか」を把握することは重要です。
2.SS400の機械的性質(板厚別)
SS400の機械的性質は、板厚区分によって規定値が異なります。

例えば、降伏点は板厚が厚くなるほど規定値が変わります。
2-1.実務補足:設計条件と板厚区分
設計段階で安全率を設定する場合、板厚区分の見落としはトラブルの原因になります。特に厚板の場合、「想定していた強度条件と実際の規定値が異なる」ケースがあります。構造計算や強度検討を行う際は、板厚区分を必ずご確認ください。
3.SS400の板厚

板厚の上限は決められていませんが、JIS G3106の溶接構造用圧延鋼材のSM400Aが200㎜以下、協定によって450㎜以下まで規定されていることを考えると、それ以上の厚さまで製造してもいいように思います。
ただし、降伏点の下限を守るために、熱処理(焼ならし)が必要になってきます。焼きならしによって、結晶粒が小さくなり、降伏点が上昇するのです。
板厚の下限規制もありませんが、下限は熱延材の1.2㎜程度でしょうか。一般に入手できるのは3.2㎜~150㎜程度かと思います。
SS400の場合、鋼板の寸法公差等はJIS G3193によるとされております。
標準的な板厚公差は、注文厚(呼称厚とも言います)に対してプラス・マイナス同じレンジで決められていますが、下限を「0」にしてプラス側のレンジを倍にして注文することもできます。ただし、後で述べる在庫鋼板は、プラス・マイナス同じレンジが基本になります。
この板厚公差は、板厚や板幅によって数値が細かく決められています。板厚が厚くなるほど、板幅が広くなるほど公差レンジも広くなります。この基準も、製造する側の都合で設定されているのではないでしょうか。
鋼板は一般的に熱間圧延時、鋼板の両サイドと幅中央では幅中央が厚くなる傾向があり、幅が広いとよりその傾向が顕著になるため公差も広げられています。
このことは、どの大きさの母材から切り出したかで板厚公差が異なっていることを意味します。
例えば、板厚25㎜で幅1500㎜の母鋼板から切り出した部材は±0.70㎜の公差ですが、幅1600㎜の母鋼板から切り出した場合は±0.80㎜の公差になっているのです。
部材の厚み公差は、別途図面で指定されていると思いますが、JIS通りとなっている場合に母鋼板によって差が生じているのは矛盾を感じます。
これはSS400に限った話ではありませんが。ただし、圧力容器用鋼板などはマイナス側の下限を一律、-0.25㎜にしているなど配慮されたものもあります。
3-1.SS400の板厚一覧と流通の実態まとめ
一般的な流通レンジは以下の通りです。
| 板厚(mm) | 流通性 | 備考 |
| 4.5~12 | 多い | 建築二次部材、カバー類(やや板金系) |
| 16~40 | 多い | 構造体のメインフレーム(ボリュームゾーン) |
| 50以上 | 要確認 | 剛性や安定性の必要な骨組みや土台用途 |
3-2.SS400の板厚公差の考え方
板厚公差はJIS G3193により規定されています。板厚が厚くなるほど、板幅が広くなるほど、公差幅は大きくなる傾向があります。以下は板厚4.0mmから100mm未満の代表的板幅レンジの公差表の抜粋です。
| 板厚(mm) | 板幅1600mm未満 | 幅1600mmから2000mm未満 |
| 4.0以上5.0未満 | ±0.45 | ±0.55 |
| 5.0以上6.3未満 | ±0.50 | ±0.60 |
| 6.3以上10未満 | ±0.55 | ±0.65 |
| 10以上16未満 | ±0.55 | ±0.65 |
| 16以上25未満 | ±0.65 | ±0.75 |
| 25以上40未満 | ±0.70 | ±0.80 |
| 40以上63未満 | ±0.80 | ±0.95 |
| 63以上100未満 | ±0.90 | ±1.10 |
3-3.SS400板厚において現場での注意点
実務でよく起こるトラブル例として:
- 板厚公差を考慮しておらず、切削加工時の板厚方向の削り代がなくなる
- 現物の板厚のバラつきが累積され誤差となる
などが挙げられます。設計・加工前に、公差範囲を前提とした検討を行うことが重要です。
4.SS400の性能、溶接について

SS400の規格自体は非常に緩いものになっていますが、日本で製造される鋼板の性能はそれなりに高いものになっています。日本人の性善説に沿った規格のような気もします。規格通りで製造するとなると、かなり性能の悪い鋼材もあり得ます。
通常のSS400は曲げ加工もしやすいですし、温間加工や熱間加工で変形させることもできます。応力除去焼鈍(SR)や焼きならしなどの熱処理をしても、強度が規定値を外れることは少ないと言えます。線状加熱等による歪矯正に対しても材質変化の影響は少ないと言えます。しかしながら、熱を加えた後の機械的性質が保証されたものではないので、負荷応力が高い場合などは配慮が必要です。
またそもそも、一般構造用圧延鋼板とは、溶接を前提にしておらずボルト等で接合するのを前提にしています。
溶接して使用するのを前提にしているのは、JIS G3106の溶接構造用圧延鋼材です。
しかしながら、SS400を溶接して使用するのはかなり一般的な事象ではないかと思います。橋梁の製造指針である道路橋示方書には
- SS400の橋への適用は非溶接部材に適用するのがよい。
- 事前に化学成分を調査したり、溶接施工試験等により、溶接性に問題がないことを確認したうえで使用することができる。
となっており、場合によってはSS400を溶接して使うことも想定されています。
長年の間に、溶接しても問題ないというデータが蓄積され、溶接して使うのが当たり前のようになっていますが、単純にSS400だから溶接しても大丈夫だと考えるのではなく、きちんと評価・確認して使用することを忘れてはいけません。
特に材料の入手先を変えた場合や初めての用途などの時は慎重な対応が必要です。信頼できる入手先を選定しましょう。
5.溶接材料について
溶接する場合の溶接材料は軟鋼用を使います。
SS400と高張力鋼や耐食鋼などの鋼種が異なるものを溶接するときは、その部分にどの性能が要求されるかによります。耐食性が要求されるならそれにあった溶材が必要ですし、高強度が加わるなら高張力鋼用の溶材が必要となります。しかしながら、一般的にはそのような性能が必要ならSS400との組み合わせにならないはずなので、軟鋼用の溶材でいい場合が多いのではないでしょうか。
SS400とステンレスを溶接するような場合は、希釈による溶接割れの懸念がありますので、309系の専用溶材を使用してください。
SS400とSC鋼の溶接は本来推奨されるものではありませんが、どうしても必要なら低水素系の溶材を用いるとともに予後熱により溶接割れを避けてください。309系の溶材を用いるのも一案です。いずれにせよ、溶接部に要求される性能はよく認識し、溶接部の品質もよく確認することは必要です。
6.SS400の在庫
鋼板のサイズについて、製鉄所は数量があれば、1㎜単位で製造してくれますが、市中で鋼板を在庫する場合、あるとあらゆるサイズを在庫するのは不可能なので、定尺と呼ばれる、標準板厚、標準幅、標準長さのものを在庫することが一般的です。
6-1.標準板厚、標準幅、標準長さ
定厚とは、板厚3.2㎜、4.5㎜、6㎜、9㎜、12㎜、16㎜、19㎜、22㎜、25㎜、28㎜、32㎜、36㎜、40㎜、45㎜、50㎜、60㎜…などですが、これら以外の中間厚や厚手についても在庫しておりますので、お問い合わせください。
幅と長さは表3に示すようなパターンが多いですが、幅2000㎜、2438㎜などもあります。これらの数値はJIS G3193に記載されております。
「しはち」「ごっとう」などの呼称は建築業界の呼び方を流用しているようですが、建築業界は単位が「尺」であるのに対して、鋼板は「フィート(ft)」であり、若干サイズは異なります。
6-2.尺・フィート呼称
ちなみに1尺は303.03㎜、1フィートは304.80㎜で、若干フィートの方が長いです。なぜ鋼板はフィートなのかは知りませんが、海外の標準サイズを呼び方だけ日本語読みしたということでしょうか。
幅1219は熱延で製造した鋼板、幅2000以上は厚板で製造した鋼板が多く、幅1524はどちらもあり得ます。また、長さ3000未満は熱延製品、それ以上はどちらもあり得ます。幅、長についてもこれら以外のサイズもありますので、お問い合わせください。
ちなみに、熱延鋼板とは、連続式の圧延機で製造されたホットコイルから切り出された鋼板です。

7.SS400の表面状態
鋼板の表面状態は、SS400も他の鋼材と同じように、黒皮と呼ばれる酸化スケールがついた状態が一般的です。酸化スケールの厚さや密着度は鋼板の製造法や成分で変わってきます。
7-1.黒皮材と酸洗材
一般に、電炉材の方が酸化スケールは厚く、密着度が高い傾向にあります。レーザ切断の場合には、スケール性状が切断性に影響する場合があり、電炉も高炉もレーザ切断用鋼板というものも製造しております。
黒皮以外に、熱延材では、酸洗によって黒皮を除去し、塗油した鋼板があります。また、ショットブラストにより、黒皮を除去した鋼板もありますが、さびやすいので在庫には向きません。
黒皮材か酸洗材か、どちらを選択するのか?は用途によって合理的な選択をしてください。
| 種類 | 特徴 | 用途 |
| 黒皮材 | 酸化スケールそのまま(黒色や濃い灰色) | 通常は黒皮材、一般構造物用途 |
| 酸洗材 | 酸で洗い圧延スケールを落としたもの(銀色寄りの灰色) | 外観・塗装品質を重視した用途 |
7-2.加工時の実務視点
塗装やメッキを前提とする場合、黒皮材では前処理が必要になることがあります。(酸洗材を使用するのか、表面をショットブラスト加工をして黒皮を飛ばすのか)。外観部品、高い塗装品質が必要な場合は専門業者にご相談ください。
8.SS400厚板の発注チェックリスト(実務用)
以下は鋼材SS400を発注する際に確認しておくべき代表的な項目です。事前に整理していただきトラブルを防いでいただければと思います。※)あくまで代表的な項目です。参考程度にご覧ください。
| 項目 | 内容 | ポイント |
| 材質(鋼種) | SS400 | |
| 形状 | 厚板 | |
| 板厚x幅x長さ | 一般的にmmで表記(公差も確認) | |
| 表面状態 | 黒皮or 酸洗 | 用途に応じて酸洗材もしくはショットブラスト要 |
| 数量 | 枚、kg/枚、kg/一式 | 枚数と一枚当たりの重要と総重量を整理して明記 |
| 加工有無 | 外周切断? | 穴加工や切削加工、曲げ、溶接などなど必要ですか? |
| ミルシート | 要or不要 | 最終ユーザーに確認が必要 |
| 納期条件 | 日付と場所 | 現物を「引き取り」なのか「指定先に納入」なのか ※)特別な契約が無い限り「車上渡し」が基本 |
9.よくある発注ミス
まとめ的にありがちな発注ミスの視点を整理します
- 板厚公差、切断加工公差を確認しない(切削代がなくなってしまう)
- ミルシートが必要かどうかを伝え忘れる(のちに手配すると時間がかかる)
- 機械部品用途にSS400を選定してしまう(SC材など他に適した材料がある)
- 表面状態を指定せず発注する(黒皮がはがれて外観不具合など用途によってトラブル発生)
特に、用途を確認せず材質選定や表面状態を選定するとトラブルの元になる可能性があります。
10.ミルシートの見方
ミルシート(鋼材検査証明書)では次の項目を確認するとよいかと思われます。
- 材質
- 板厚など寸法
- キーとなる「証明書番号か契約番号」(製造メーカーによっては受注番号・注文番号)
- 機械的性質値
- 化学成分値
ミルシートに関しては別のコラムでまとめていますので、是非あわせてご覧ください。
ミルシート(鋼材検査証明書)の 用途や見方、内容を解説します! Vol.1 | ニュース・ブログ | 創業1913年 鋼板・鋼材の専門商社|クマガイ特殊鋼株式会社
11.よくある質問(FAQ)
Q1. SS400の板厚公差は発注時にどう伝えるべきですか?
A. 通常はJIS規格に基づく公差で流通します。ただし加工精度が厳しい場合は事前に公差前提で設計・確認することが重要です。特別な精度が必要な場合は購入を検討されている業者に事前相談をおすすめします。
Q2. SS400厚板をレーザー切断加工する際の注意点は?
A.レーザー切断機は切断公差が存在し、現物は必ずバラつきますので、考慮に入れてください。例えば、長さ寸法100mmの切断を指示すれば、±1.0mmや±0.5mmなど公差範囲内で現物は必ずバラつきます。レーザー切断公差はその設備によって異なります。切断を依頼する業者に公差(バラつきの範囲)をご確認ください。
Q3.黒皮材を塗装前提で使用しても問題ありませんか?
A.塗装前提での黒皮材の使用はもちろん可能です。ただし黒皮が剥がれることで、塗装も一緒に剥がれるリスクがあります。塗装品質を重視されるのであれば、ショットブラスト加工を施すか、酸洗材を使用されてはいかがでしょうか。
12.SS400の解説まとめ
以上2回記事に渡り、SS400について書いてきました。
興味ある話はありましたでしょうか。クマガイ特殊鋼は社名に『特殊鋼』と入っておりますが、ベース鋼材のSS400についても取り扱っておりますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。
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