S45CおよびS50C(およびS48C)とは? 特徴・用途・鋼種比較から厚板材選定の実務まで徹底解説
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S45CおよびS50C(S48C)とはどんな鋼材か?硬さ・密度・加工性などの基本特性から用途、SS400・SCM435との違い含め解説。厚板材ではS48Cで代替される理由や注文前の注意点まで分かる実務向け完全ガイド。
<執筆・監修者>
熊谷憧一郎(くまがい しょういちろう)
クマガイ特殊鋼株式会社 代表取締役社長。1977年生まれ、愛知県出身、成蹊大学卒業。
2000年に大手総合商社入社後、特殊鋼材販売に従事。2013年より現職。特殊鋼販売技師資格を有し、25年以上にわたり一貫して特殊鋼の販売・加工に携わり、会社の代表としても特殊鋼のプロフェッショナル社員集団を牽引する。
目次
1.S45CおよびS50C(およびS48C)とは?機械構造用炭素鋼の代表材をわかりやすく解説
S45CおよびS50Cは、JIS規格(JIS G4051)に定められた機械構造用炭素鋼の一種です。
S45Cは、強度・加工性・コストのバランスに優れた非常に汎用性の高い鋼材です。S50Cも同様に汎用性の高い鋼材ですが、S45Cと比較して、より高い硬度が求められる部材に使用されます。
1-1.S45CおよびS50Cの名称の意味
- S:Steel(鋼)
- 45/50:炭素含有量 0.45%前後/0.50%前後
- C:Carbon(炭素鋼)
1-2.機械構造用炭素鋼とは
シャフトやピン、歯車などの機械部品や金型のベースプレートや治具類などとして使用されることを前提に設計された鋼材群です。
1-3.S45CおよびS50Cがよく使われる理由
- 熱処理で強度調整が可能
- 加工性が良く量産にも向く
- 入手性が高くコストが安定
2.S45CおよびS50Cの化学成分と規格(JIS G4051)
2-1.主な化学成分
S45C
- 炭素(C):0.42~0.48%
- マンガン(Mn):0.60~0.90%
- リン(P):0.030%以下
- 硫黄(S):0.035%以下
S50C
- 炭素(C):0.47~0.53%
- マンガン(Mn):0.60~0.90%
- リン(P):0.030%以下
- 硫黄(S):0.035%以下
炭素量が比較的高いため、焼入れ性と耐摩耗性を確保しやすいのが特徴です。
2-2.S45CとS48CとS50Cの化学成分の違いと実務上の扱い
| 鋼種 | 炭素量(C) |
| S45C | 0.42~0.48% |
| S48C | 0.45~0.51% |
| S50C | 0.47~0.53% |
このように、S48CとS45CおよびS50Cと規格上も成分範囲が重なる部分が大きく、
強度・焼入れ性・加工性に大きな差はありません。
2-3.実務でS45CとS48C、およびS48CとS50Cが「同等扱い」される理由
- それぞれ機械的性質がほぼ同水準
- 化学成分の違いは炭素量のみであり、且つ被る範囲が大きい
- 熱処理後の性能差が小さい
- 設計要求を満たすケースが多い
3.S45CおよびS50Cの機械的性質の目安(硬さ・引張強さ・せん断強度)
3-1.生材(未熱処理)
- 硬さ:HB160~200程度(HRC15~20)
- 引張強さ:約570~620MPa
- やわらかく削りやすい
- 一方で「粘り」が強く切り屑が繋がり面が荒れやすい
※あえて「焼ならし」を行い組織を整えることも一般的。
3-2.熱処理後(調質後)
| 性質 | S45C(調質) | S48C(調質) | S50C(調質) |
| 引張強さ | 690N/mm2以上 | 710N/mm2以上 | 740N/mm2以上 |
| 降伏点/耐力 | 490N/mm2以上 | 510N/mm2以上 | 540N/mm2以上 |
| 硬さ(HBW) | 201~269 | 207~277 | 212~277 |
| 硬さ(HRC) | 20~30程度 | 21~31程度 | 22~32程度 |
| せん断強度 | 約550~580N/mm2 | 約570~600N/mm2 | 約590~620N/mm2 |
- 焼入れ・焼戻しによりHRC40以上も可能
- 表面硬化で耐摩耗性向上
※靭性や溶接性には注意が必要です。
4.S45CおよびS50Cの物理的性質(密度・比重・磁性)
- 密度:7.85g/cm³
- 比重:7.85
- 磁性:あり
一般的な鉄鋼材料と同様に重量設計が可能です。
5.S45CおよびS50Cはなぜ“汎用材”と呼ばれるのか?
- SS400より高強度
- 合金鋼より低コスト
- 加工・調達がしやすい
「機械部品用途における基準材」とも言えます。
6.S45CおよびS50Cの加工性|切削・旋盤加工のポイント
S45CおよびS50Cは炭素量が高いため、SS400より切削抵抗はやや大きめです。
生材では既に記載通り「粘り」が強く、切り屑が繋がる傾向があります。それを防ぐため「焼ならし」も一般的に行われます。
6-1.実務上の注意点
- 工具摩耗が進みやすい
- 熱処理後加工は条件管理が重要
- 歪み対策を工程設計に組み込む
7.S45CおよびS50Cの熱処理特性(焼入れ・焼戻し・高周波焼入れ)
- 焼入れ・焼戻し:全体強度UP
- 高周波焼入れ:表面のみ硬化
シャフトや摺動部など、用途に応じた処理が可能です。
8.S45CおよびS50Cで可能な表面処理とその効果
- 黒皮材(圧延肌)
- 黒染め(防錆・外観)
- 各種メッキ
※高耐食用途では材料変更も検討が必要です。
9.【類似鋼種比較】S45C・S48C・S50C・S55Cの違い
| 鋼種 | 実務評価 |
| S45C | 標準・基準材。 形状は【丸棒】が主流 |
| S48C | S45C、S50Cの代替 |
| S50C | S45Cより高硬度・耐摩耗。 形状は【プレート(板材)】が主流 |
| S55C | より高強度で加工難 |
9-1.実務的な位置づけ
- S45C ≦S48C ≒ S50C(特に厚板)
- 性能はほぼ同一なので「調達性・サイズ・歩留まり等の経済合理性」が選定要因になることも多い
9-2.用途別おすすめ
- 丸棒、一般シャフト類など → S45C
- 板材(厚板)ベースプレート、治具など耐摩耗重視 →S48C、 S50C
- より強度最優先 → S55C
10.【他鋼種比較】S45CおよびS50Cと他のJIS規格:SS400・SCM435・SM490・SM570
10-1.よくある誤選定
- SS400:摩耗が早い
- SCM435:オーバースペックで高コスト
10-2.用途別判断表
| 用途 | 推奨鋼種 |
| 機械部品 | S45C S48C S50C |
| 高疲労 | SCM435 |
| 溶接構造 | SS400 SM490 SM570 |
11.S45CおよびS50Cのメリット・デメリット
11-1.メリット
- 強度と加工性の両立
- 熱処理で硬度を調整できる
- コスト安定
11-2.デメリット
- 溶接性が低い
- 熱処理必須な場合が多い
- 耐食性が低い
- 厳しい曲げ加工に不向き
12.S45CおよびS50Cは溶接できる?注意点と対策
溶接は可能ですが、
【予熱・後熱処理が必須】で割れリスクがあります。
溶接前提の場合は材質変更も検討すべきです。
13.S45CおよびS50Cの寸法規格・板厚・丸棒サイズ
- 丸棒:S45Cが主流:φ10~φ300以上
- 板材:S48C、S50Cが主流:薄板~厚板まで流通
※大径材(φ300mm超)・極厚品(板厚70mm以上)・特注は事前確認が重要です。
14.厚板材ではS48Cが選ばれる理由(クマガイ特殊鋼の視点)
14-1.S50C厚板=S48C(S45C⇒S48C)でカウンターするはなぜか?
- S48CはS50Cと炭素量で被る部分が大きい
- S45Cから見たS48Cは上位スペックで且つ被る部分が大きい
- よってS45C、S50Cのどちらに対してもS48Cの範疇で対応できる可能性が高い
- 機械的性質はS45CやS50Cに類似しておりほぼ対応できる(熱処理後も同様)
- 材質をS48Cに限定することで合理的に 安定して材料確保できるケースが多い(特に東海地区の厚板はその傾向が強い)
そのため実務では
「S45C(S50C)指定の厚板材 → S48Cで代替提案」
が合理的な選択となることがあります。
15.【注文前チェック】S45CおよびS50C発注時に確認すべきポイント
15-1.よくある失敗
- 熱処理が必要なのに生材で発注した
- 熱処理の指示内容を間違えた(処理方法、必要硬度、ショットブラストの有無など)
- 厳しい曲げ加工で割れてしまった(曲げ加工がある場合、曲げRに注意)
- 図面寸法公差を担保できない(熱処理による歪発生や、仕上げ寸法なのか、素材寸法なのか)
15-2.確認すべき項目
- 生材/熱処理材(熱処理の有無)
- 熱処理の種類(調質?焼き入れ焼き戻し?必要硬度は?)
- 公差・表面粗さ(指示寸法は仕上がり?ショットブラスト処理は必要か?メッキは?)
- 溶接や曲げ加工、機械加工の有無(特に溶接や曲げ加工は要注意)
- 部品の使用環境(摩耗・衝撃・腐食)
【事前相談】で大半は防げます
16.加工トラブルを防ぐためのS45CおよびS50C材選定のコツ
- 熱処理後の歪み想定(熱処理後は歪がでます。どこまで許容するかを発注時に確認する)
- 溶接は予熱が必須(専門家に相談することを推奨します)
- 厳しい曲げ加工は要注意(曲げRを確認する、熱間曲げや完全焼きなまし等解決案あり)
- 工程順の整理(機械加工や熱処理など工程の順番は確認必須)
- 材料商社への早期相談(ノウハウのある業者にまとめて相談が一番早い)
17.S45CおよびS50Cはどんな部品に使われている?
- シャフト(S45C)
- ピン・軸(S45C)
- 歯車(S45C)
- 治具部品(S50C)
- 金型プレート(S50C)
などなど、相手の部品があり、その関係性で硬度を決める部品
※(S45C or S50C)は一般的に振り分けたもので、確定されるものではありません。
18.S45CおよびS50Cは結局どんな部品向け?向き・不向きまとめ
18-1.向いている
- 中強度機械部品(S45C)
- 中強度構造部材(S48C、S50C)
- 治具類(S45C、S48C、S50C)
- コストと性能の両立が必要な場合
18-2.向いていない
- 高耐食環境(表面処理でカバーできる範疇もあり)
- 溶接主体構造(予熱等制約があるので専門家への相談を推奨)
- 厳しい曲げ構造(曲げ加工時の割れの危険性あり)
迷ったら【向いてない加工領域を避けて、用途と寿命条件を整理】するのが判断基準です。
19.クマガイ特殊鋼がS45CおよびS50Cで選ばれる理由
- 炭素鋼の豊富な在庫(S45C、S48C、S50C、S55C)
- 過去の経験(失敗含む)からの学んだノウハウの蓄積
- 切断・機械加工・熱処理対応可(部品図面を丸投げでOK)
- 炭素鋼ふくめた用途に最適の材料選定の相談対応
S45CおよびS48CおよびS50Cはもちろん用途に合わせた最適な材料と加工方法、加工順をご提供します。
20.FAQ
Q. S45CおよびS50Cとはどんな材料ですか?
A. 機械構造用炭素鋼で、強度・加工性・コストのバランスに優れた汎用材です。
Q. S45CおよびS50CとSS400の違いは?
A. SS400は溶接構造向けで最も一般的なものの一つ、S45CおよびS50Cは機械部品向けで最も一般的なものの一つです。
Q. S45CおよびS50Cは焼入れできますか?
A. はい。焼入れ・焼戻しや高周波焼入れが可能です。
Q. S45CおよびS50Cは溶接できますか?
A. 可能ですが予熱・後熱が必要です。専門家への相談を推奨します。
Q. S45CおよびS50C(S48C)はどんな部品に向いていますか?
A. S45Cは丸棒形状が一般的で、シャフト、ピン、歯車など機械部品に向いています。S50C(およびS48C)は板材形状が一般的で治具や金型、ベースプレートなどに向いています。
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